EUとは
EUの主な機関・シンボル
EUはその運営や法律制定のためのさまざまな機関を有しています
以上を実現するため、EUはその運営や法律制定のためのさまざまな機関を有します。主なものは以下の通り。
- 欧州議会(5年ごとの直接選挙で選ばれる議員で構成。欧州市民を代表)
- 欧州理事会(各EU加盟国の大統領または首相で構成)
- 欧州連合(EU)理事会(各加盟国を代表、閣僚が出席)
- 欧州委員会(立法準備を行い、EU法の施行と順守を担当)
EUの法律は、原則的に欧州委員会が原案を提示し、EU理事会と欧州議会が検討・審議して策定されます。
なお、欧州委員会には各加盟国から1人の委員(大臣に相当)がいます。
また、EUには「旗」、「歌」、「記念日」、「標語(モットー)」の4つのシンボルがあります。「欧州旗」は青地に円環状に配置された12個の金色の星で構成され、欧州議会や国際会議等の公式の場で掲揚されます。「歌」はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーベンの交響曲第9番第4楽章「歓喜の歌」の主題部分であり、「記念日」は欧州の平和と統合を祝う「ヨーロッパ・デー」が5月9日に制定されています。EUの「モットー」は「多様性の中の統合(United in Diversity)」で、多くの主権国家、言語、文化をそれぞれ尊重しながら統合を進める欧州の理念を示しています。
※ 欧州議会、欧州理事会、欧州連合(EU)理事会、欧州委員会に関して詳しく説明したEU MAGの記事は下記。
EUの歴史
EUの根底にある欧州統合の考えは、第二次世界大戦後に生まれました
欧州は何百年もの間、幾度となく戦争の悲劇に見舞われてきました。近代に入ってからは、その多くの場合、対立の中心にはフランスとドイツがいました。その繰り返しに終止符を打とうと、1950年5月9日、フランス外相ロベール・シューマンは、石炭と鉄鋼という、当時、あらゆる軍事力の基礎となっていた産業部門を共同管理する、超国家的な欧州の機構の創設を提唱しました。この演説は後に「シューマン宣言」として知られるようになり、現在の欧州統合の出発点とまりました。
1952年、シューマンの考えに賛同したフランス、西ドイツ(当時)、ベルギー、イタリア、ルクセンブルクおよびオランダが欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)を設立しました。その後、平和と和解に留まらない、欧州統合の政治的・経済的意義も徐々に認識されていきました。「共通市場」を擁する欧州経済共同体(EEC)の創設以後、いくつもの基本条約の改定と加盟国の増加を経て、単一市場を完成させ、共通の通貨ユーロを有する現在のEUに至ります。
現在のEUは、2009年12月発効のリスボン条約により意思決定手続きがより効率的になり、外交政策もEU外務・安全保障政策上級代表(外務大臣に相当)の下で一本化され、欧州対外行動庁(EEAS)も設立されました。21世紀の国際舞台でEUはその人口と経済力に見合う役割を果たすため、積極的に活動しています。
EUの政策概要
EUは70年余りにわたり、拡大を続けてきています
EUの今日の取り組み
統合の道を歩み始めてから、EUは数多くの成果を挙げてきました。域内国境の廃止など欧州内の政策的取り組みのほか、人道援助や共通外交・安全保障政策 (CFSP)を通じて、自らがこの70年以上にわたり享受してきた平和と繁栄を世界にももたらそうとしています。
EUとその加盟国を合わせると、EUは世界最大の開発援助提供者です。さらにEUは、その諸機関と加盟国を合わせると人道援助の世界最大の提供者でもあり、地震や洪水など世界各地の大災害への迅速な緊急援助のほか、紛争や干ばつなどの被害に遭った人々に対しより息の長い支援も行っています。また、軍事的・非軍事的政策双方を併せ持つ共通外交・安全保障政策(CSDP)を通じて、EU部隊を派遣し、軍事的な行動のほかに警察・法制度・文民行政などの強化といった、紛争後の平和構築活動を行います。
EUは、その経済的規模を十分に活用し、通商政策、環境政策・エネルギー政策・気候変動対策など、さまざまな分野で積極的に発言・行動しています。
EUは70年余りにわたり、拡大を続けてきています。1952年に6カ国で発足した欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)は、その後何度にもわたり拡大してきました。自由、民主主義、人権および基本的自由の尊重、加盟国共通の法の支配の原則を尊重する欧州の国であれば、どの国でも加盟を申請することができます。加盟条件は、1993年の「コペンハーゲン基準」として原則化されています。拡大に関する日本語の情報はこちら。
ユーロと単一市場
EU域内では、人、物、サービスおよび資本が、国境や障壁に妨げられることなく、自由に移動することができます
ユーロ、経済通貨同盟と単一市場
単一市場の創設は、EUの最大の成果の一つです。EU加盟国間では、人、物、サービスおよび資本がそれぞれの国内と同様に、国境や障壁に妨げられることなく、自由に移動することができます。EU市民は、EU域内のどの国においても、居住し、働き、学び、余生を送ることができます。こうした移動の自由は、シェンゲン協定によって担保されています。2024年6月現在、EU加盟国27カ国中25カ国と非加盟国の4カ国(アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェー、スイス)の計29カ国は、シェンゲン協定の下、域内国境の廃止に合意しています。(ただし、2024年3月31日にシェンゲン協定に新たに加盟したブルガリアとルーマニアに関しては、空路と海路の国境のみ国境管理が廃止され、陸路については引き続き審査が継続しています。)EU市民、そして多くのEU域外国の人々が、シェンゲン圏内を自由に移動できます。
また、単一市場は、2002年に導入され、現在20加盟国(ユーロ圏)で使用されているEUの通貨、ユーロによって支えられています。ユーロ圏加盟国は、同通貨の導入にあたっては、物価の安定や健全な財政管理といった一定の基準を 満たさなくてはなりません。欧州中央銀行(ECB)は、金融政策を実施し、欧州の金融システムの安全と健全性を確実にするよう、ユーロ圏内の銀行を監督する責務を担っています。ユーロ硬貨には、各国共通のデザインが施されている面と、発行国独自のデザインが施された面とがあります。
ユーロは次の国々で導入されています。
オーストリア、ベルギー、キプロス、クロアチア、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、アイルランド、イタリア、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルク、マルタ、オランダ、ポルトガル、スロヴァキア、スロヴェニア、スペイン
ユーロ紙幣のデザインは?
7種類の紙幣 : 5、10、20、50、100、200、500ユーロ (注:500ユーロ紙幣は2019年4月27日以降、発行停止)
この7種類の紙幣には、ユーロ圏で共通のデザインが用いられており、。欧州の建築様式の歴史における発展を、人と人をつなぐ「窓」と「橋」という図柄によって表現しています。
ユーロ硬貨のデザインは?
8種類の硬貨 : 1、2、5、10、20、50ユーロセント、1、2ユーロ
硬貨の片面には各国共通のデザインが描かれ、EUの加盟国間の結束を表しています。共通デザインは、硬貨の種類によって 異なり、1、2ユーロ硬貨および10、20、50ユーロセントの硬貨には、2004年5月1日の拡大以前のEUの地図もしくは、2007年1月1日以降に発行された硬貨の場合は、欧州大陸全体の地図が描かれています。1、2、5ユーロセント硬貨は、地球上の欧州の位置を、アジアやアフリカとの関係において表したデザインとなっています。もう一方の面には、各国が選んだ独自のデザインが施されています。ただし、どの国のデザインの硬貨であっても、全てのユーロ参加国で使用できます。
ユーロの利点は?
- ユーロ圏内を旅行する時
単一通貨なので、両替は1回で済みます。たとえばイタリアで美術館へ入館する場合、ギリシャで使い切れなかったユーロ硬貨がそのまま使えます。また、フランスでの食事代をスペインのATMから引き出したユーロ紙幣で支払うことも可能。このように、両替に費やす時間と手数料が節約できます。
- ユーロ圏内で買物する時
商品の価格が同一の通貨で表示されるので、価格の比較が容易になり、賢い選択の助けとなります。
- ユーロ圏内とビジネスを行う時
各国通貨間の為替変動リスクがない。金利およびインフレ率が低くなる上、より大きく、競争力のあるEU単一市場の中での取引や資金調達が可能となります。 事業経営が、より簡単かつ経済的に行えます。
EU外務・安全保障政策上級代表
外交においてEUを代表する外務・安全保障政策上級代表
世界の中のEU――外務・安全保障政策上級代表
欧州連合(EU)の外交政策は、民主主義、法の支配、人権、人間の尊厳の尊重、平等および国連憲章や国際法の原則の尊重といった、EU創設の原動力となった諸理念に基づいています。
外交の場においてEUを代表するのは外務・安全保障政策上級代表です。
上級代表は、EUの外交・安全保障政策、すなわち共通外交・安全保障政策(Common Foreign and Security Policy=CFSP)と共通安全保障・防衛政策(Common Security and Defence Policy= CSDP)の調整および実施の責任を与えられています。
その職務範囲は広く、EU内で外交政策に関するあらゆる職能を一つに束ねるため、上級代表は欧州委員会の副委員長も兼務。上級代表の職務には次のものが含まれます。
- EUを代表して外交の舵取りを行う
- 開発援助、通商、人道援助 および危機対応といった、EUの外交政策ツールの調整を図り、地政学的な展開について、欧州委員会に報告する
- EUの外交の舵取りを行う欧州理事会で加盟国の首脳との会合に出席する
- EU外交政策に関する加盟国の意見をまとめ、月例のEU外務理事会(外相会議)の議長を務める
- 国連等の国際的な場でEUを代表する
上級代表を補佐するのがEUの外務省にあたる欧州対外行動庁(EEAS)で、同組織にはEU職員のほか、各加盟国の外務省の専門家も働いています。本部はベルギー・ブリュッセルにあり、世界各地に代表部(大使館に相当)を置いています。そのうちの一つが東京にある駐日EU代表部です。
※ 欧州対外行動庁(EEAS)に関して詳しく説明したEU MAGの記事は下記。
平和構築 (共通安全保障・防衛政策〈CSDP〉)
EUは、かつて戦い合っていた国々をまとめることにより、持続的な平和を築いてきました
平和構築
「私は平和な土地を夢見た全ての欧州人、そして日々その夢の実現に取り組んできた人々に対して敬意を払いたい 」――ヘルマン・ヴァンロンプイ欧州理事会議長(当時)は2012年のノーベル平和賞受賞に際し、欧州連合(EU)を代表してこう発言しました。
EUは、かつて戦い合っていた国々をまとめることにより、持続的な平和を築いてきており、世界の舞台においても平和構築と繁栄、そして紛争解決に尽力しています。取り組まなければならない今日の複雑な安全保障問題を認識し、政策や対応を状況に合わせて調整しつつ、短期と長期にわたり人道、開発、安全保障および政治といった幅広い側面で危機に対応しています。この包括的アプローチはEU独自の強みの一つであるのです。
EUの共通安全保障・防衛政策(CSDP)の能力および経験は文民・軍事ミッションを通じて20年という長い時間をかけて発展してきており、その要請は増え続けています。EUは、国連、北大西洋条約機構(NATO)、アフリカ連合、欧州安全保障協力機構(OSCE)そしてパートナー国と連携して活動しています。文民・軍事能力に関する目下の目標は、変化しつつある安全保障環境を反映しています。
紛争予防
EUの紛争予防には以下の活動が含まれます。
- 武力衝突のリスクの早期判別
- 紛争状況に対する理解の向上(根本原因、当事者、力関係)
- EUの行動に関する選択肢のより適切な特定
- 紛争を意識した対外援助の立案
仲裁と協議
仲裁はEUの現場予防外交の一つであり、紛争予防と紛争地域における平和構築に大変重要な役割を果たしています。EUは独自の仲裁支援能力を展開してきました。[Concept on Strengthening EU Mediation and Dialogue Capacities adopted in November 2009]
EU特別代表はEU代表部やCSDPミッションと共に仲裁を行い、内容としては、高官級の政治的仲裁会議から政治仲介や信頼醸成に至ります。
日本との協力
2014年10月以降、ソマリア沖で「アタランタ作戦」を展開しているEU海軍部隊(EU NAVFOR) と自衛隊が、アデン湾において何度も海賊対処合同活動を行ってきました。
European Union
通商
対外貿易と投資はEUにとって重要な意味を持ちます
EUの通商政策
対外貿易と投資はEUにとって重要な意味を持ちます。貿易は、EU域内外における長期雇用の創出につながるという意味において、世界全体の成長の原動力であり、欧州と貿易相手国の人々や企業の日常に実質的な影響を及ぼすものでもあります。
世界貿易におけるEUの地位
貿易に関して、EUは世界をリードしています。開かれた貿易制度のおかげでEUは国際貿易の最大の担い手であり、、2022年には世界の物品貿易の14.2%とサービス貿易の23.32%を占め、良好な貿易相手であり続けています。さらに、世界の総GDPの15%近くを占め、およそ4億5,000万人の人口を有するEUは、世界最大級の経済規模を誇り、最も高い収益を期待できる消費市場です。また、世界最大の対外投資元および最大の外国投資受け入れ先でもあります。
EUの通商政策の目標
世界全体に公正かつ開かれた貿易制度を構築します
世界貿易機関(WTO)は、貿易に対して開放的な国際経済を保ちつつ、開発途上国のニーズや懸念を勘案し尊重するような国際貿易ルールの構築に貢献してきました。WTO下の多数の協定や義務により、貿易の開放性、予見性、公平性が確保されています。EUの通商政策は、この世界貿易制度を保ち、かつ変化の激しい世界に確実に適応させることに取り組んでいます。
主要なパートナー諸国とともに市場開放を図ります
EUは、他地域との貿易機会を増やすことにより、欧州市民に成長と雇用の機会をもたらすことを目指しています。市場開放を実現する一つの方法は、自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)を通じて貿易や投資へのアクセスおよび条件の改善に向けた交渉を行うことです。EUはすでに複数の国とFTAを締結しており、日本をはじめ多くの国々とのこのような協定を締結しています。
貿易相手による規則順守を担保
EUの通商政策は、貿易相手の市場への障壁を除去することにより、欧州の輸出業者、労働者、投資家に対して新たな市場を開くことを目的としています。EUは、輸出業者が直面する慢性的な問題を解決し、欧州企業が域外の調達市場への平等なアクセスを確保する機会を増やし、欧州製品の偽造・著作権侵害行為を減らし、欧州企業による投資機会を開拓するために、域外の国々と緊密に協力しています。
国際貿易ルールは貿易の公平性を担保することを目的としているため、その順守が極めて肝要となります。従って、大半の貿易協定には、その順守を確実にし、紛争があった場合にはそれを解決できるよう、紛争処理制度が盛り込まれています。
貿易を持続可能な開発の力として活用
EUは、世界中の人々が交易により貧困から脱却できるよう、積極的に支援していくことに力を注いでいます。欧州は、最貧諸国からのあらゆる輸入品に対して市場を開放しており、途上国が貿易を活用していくのに必要な能力を構築できるよう、積極的に協力しています。
EUはまた、環境保護と地球温暖化への取り組みを支援し、途上国における労働条件改善に尽力し、そして、EUが輸出入する製品については極めて高いレベルの衛生・安全基準を保持する、といったその他の重要な国際目標達成に向けた努力を強化するためにも、通商政策を活用しています。
EU通商政策の策定
通商政策はEUの専権分野です。すなわち、貿易に関わる法律を策定し、国際的な貿易協定を締結する権限を持っているのは個別の加盟国ではなく、EUのみです。 EUの専権分野には、物品およびサービスの貿易、知的財産権の商業的側面および外国直接投資も含まれます。また、通商政策と関連する運輸や資本の移動など、その他の分野についてもEUが権限を専有しています。
欧州議会は、通常の立法手続きに則り、EU理事会と共同でEUの通商政策の枠組みを決定します。発議権は欧州委員会が持つが、同委員会が提出する法案が採択されるためには、共同立法機関である欧州議会とEU理事会の間の合意が必要です。国際協定の場合は、欧州議会が承認を与えた後、EU理事会が採択します。
関連リンク
欧州委員会通商総局、EU 貿易・投資統計年鑑 2023
人権
人権は、普遍的なものです
域内外で人権、民主主義および法の支配を促し、守ることは、EUの基本原則です。
人権は、EUの設立条約で謳われており、EU基本権憲章およびリスボン条約によってさらに強化されました。EUは、全市民の基本的権利を擁護することを明言しています。
EU域外においては、国連憲章および国際法の原則に準拠して人権を促進しています。EUは、2020年の「人権と民主主義に関する行動計画(2020年~2024年)」では、個人の保護とエンパワーメント、強靭で包摂的な民主主義社会、人権と民主主義が根付いた国際制度などを柱に据えてこの分野における対外活動の指針となっています。
EU MAG関連記事「世界の人権擁護をリードするEU」
EUと死刑制度
EUは、自由、民主主義、人権尊重の原則の上に成り立ち、全27の加盟国が共通の価値を共有しています
この観点から、EUは、世界のあらゆる国での死刑制度の廃止を目指しています。
EUはその人権政策の一環として、全世界で死刑制度を廃止するか直ちにモラトリアム(執行停止)を導入するよう呼びかけています。死刑制度が存置されている国に対しては、EUは、人間の尊厳が保たれるようにするため、次の最低基準を順守するよう働きかけています。
- 死刑は、非常に重大な犯罪にのみ適用すること
- 死刑は、18歳未満の青少年には適用しないこと
- 被告人が法的弁護を受けられる公正な裁判が行われること
- 死刑を宣告された者が、異議申し立てを求める権利を与えられること
- 死刑は、可能な限り最小限の苦痛を伴う方法で執行されること
EUは、「デマルシュ」という外交的な働きかけや人権に関する報告書の作成、市民的および政治的権利に関する国際規約の第二選択議定書の批准を各国に呼びかけるといった方法で、死刑制度廃止を求めています。また、公正で、差別のない法制度の確立を導くために協力するイニシアティブも取っています。
死刑廃止に向けた世界的な運動
EUは、2008年以来、「欧州の死刑廃止デー」を共催しており、それは毎年10月10日、世界の死刑廃止デーと同じ日になっています。
EUは、死刑廃止を呼びかける国連総会決議を共同提案しており、それに賛同する国は年々、増えています。2022年12月15日には、国連総会で「死刑執行停止決議」が史上最多の125カ国の賛同を得て採択されました。これは、死刑制度を廃止しようというコンセンサスが、国際社会で醸成されてきていることを示しています。
日本は、いまだに死刑を存置している国の一つです。EUは引き続き日本に対して、死刑廃止に向けて進んでいる国々の仲間入りをするよう働きかけていきます。
EU MAG記事
「EUは死刑制度のない世界を求めています」 (リーフレット、PDF)
「死刑制度のない世界」を目指すEUの取り組み 『EU MAG』2014年9月号 特集
開発援助
EUとその加盟国は、合わせて世界最大の開発援助を行っています
EUは、最貧国、脆弱国や低所得国、紛争から脱した国など、援助を最も必要とする国々を支援しています。EUの執行機関である欧州委員会の国際パートナーシップ総局は、欧州の国際協力・開発政策の設計および国際援助の提供を行っています。
EUの活動の目的は以下の通り。
- 貧困撲滅
- 持続可能な経済・社会・環境開発の確保
- 民主主義、法の支配、良きガバナンス、および人権尊重の促進
これらの目的は、貿易、経済、エネルギー、安全保障、気候など、全ての関連するEUの政策や活動に組み込まれています。
EUは自身の開発プログラムが、各国政府が自国の開発のために掲げる優先順位に従うようにしており、例えば、EU援助の約25%は直接予算面での支援に充てられています。また、EUは非政府組織(NGO)、労働組合、人権団体、環境保護団体、商工会議所やその他の市民組織と意見を交換するとともに、NGOと国連機関を支援しています。
人道援助
EUは、世界最大の人道援助提供者です
世界中の援助額の 50 % 以上を危機に見舞われている地域や紛争後の不安定な状態にある国、そして「忘れられた危機」に陥っている国に供与しています。EUは、国際的な人道原則に基づき、また「人道援助に関する欧州のコンセンサス(European Consensus on Humanitarian Aid)」に掲げられているとおり、ニーズに応じた援助を提供しています。この援助は、人種、民族、宗教、性別、年齢、国籍または政治的立場に関係なく、被害を受けた人々に公平に届けられるもので、食料と栄養、シェルター、医療、水と衛生設備を含みます。EUは、国際機関や人道支援を行う非政府組織(NGO)と連携して援助提供にあたっており、シリア、南スーダン、中央アフリカ共和国をはじめとする世界各地の重大な危機に見舞われている地域や、コートジボワールのような紛争後の不安定な状況にある国を支援しています。
EUの人道援助および市民保護の実施、運用、提供にあたるのは、欧州委員会の欧州市民保護・人道援助活動総局(DG ECHO)です。
災害管理と人道援助における日・EU協力
2011 年 3 月の東日本大震災後に築かれた関係とそれ以前に行われていた協議に基づいた日・EU間の協力は2013年、広範な防災分野での正式な日・EU協力の合意へとつながりました。
定期的に行われる日・EU政治協議には人道援助政策が含まれており、この協議は日本政府、国際協力機構 (JICA)、水災害・リスクマネジメント国際センター(ICHARM)の専門家や幹部職員との頻繁な交流によって強化されています。日本とEUはアジア欧州会合 (ASEM)やASEM関連の災害リスク削減と災害管理に関する会議において、緊密に協力しています。
また 日・EU戦略的パートナーシップ協定(SPA)にも市民保護と人道援助に関連する規定が含まれています。
よくある質問
よくある質問とその回答
- EUの加盟国を教えてください。
EUには現在、ベルギー、ブルガリア、チェコ、デンマーク、ドイツ、エストニア、アイルランド、ギリシャ、スペイン、フランス、クロアチア、イタリア、 キプロス、ラトビ ア、リトアニ ア、ルクセンブルク、ハンガリー、マルタ、オランダ、オーストリア、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、スロヴェニア、スロヴァキア、フィンランド、スウェーデンの27カ国が加盟しています。
加盟国の順番は正式にはこのように、自国語での国名のアルファベット順となっています。
- EUの公用語は?
EU では現在24の公用語が使われています。それらはブルガリア語、スペイン語、チェコ語、デンマーク語、ドイツ語、エストニア語、ギリシャ語、英語、フラン ス語、アイルランド語、クロアチア語、イタリア語、ラトビア語、リトアニア語、ハンガリー語、マルタ語、オランダ語、ポーランド語、ポルトガル語、ルーマ ニア語、スロヴァキア語、スロヴェニア語、フィンランド語およびスウェーデン語です。EUの公用語に関する詳しい情報はこちら。
- 27カ国が加盟しているのに、EUの旗にはなぜ星が12個しかないのですか?
12の星はEU加盟国の数を表しているのではなく、「完璧」と「充実」を象徴する円を表しているのです。1955年に欧州評議会(Council of Europe)がこのデザインを採択し、1986年に正式にEU(当時は欧州共同体)の旗になりました。 EUのシンボルに関する駐日EU代表部公式ウェブマガジン『EU MAG』の解説記事はこちら。
- EUは、今後も拡大しますか?加盟申請している国を教えてください。
現在、アルバニア、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、ジョージア、モルドバ、モンテネグロ、北マケドニア、セルビア、トルコおよびウクライナの9カ国がEU加盟候補国となっています。
EU拡大に関する詳しい情報は、EU MAGの「歴史的EU拡大からの10年を振り返る(2014年05月号)」と「欧州の安定と平和を強化するEUの拡大(2022年臨時特別号)」(日本語)およびこちら。
- EUと欧州委員会の違いは?
欧州委員会は、EUの一つの機関であり、行政執行機関の役割を果たしています。
詳しい情報は、こちら。
- ユーロについて教えてください。
ユーロは、EUの単一通貨で、2002年に12カ国で流通が開始し、これらの国(ユーロ圏)唯一の法定通貨となりました。その後、ユーロ圏は20カ国まで拡大した。ユーロは現在、オーストリア、ベルギー、キプロス、クロアチア、エストニア、フィンランド、フランス、 ドイツ、ギリシャ、アイルランド、イタリア、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルク、マルタ、オランダ、ポルトガル、スロヴァキア、スロヴェニアとスペインで使用されています。
ユーロに関する詳しい情報はこちら。
- 日本と EUはどのような関係にあるのですか?
日本とEUは世界最大の経済を有するという点で共通しているだけではなく、自由、民主主義、法治主義、人権の擁護などの価値を共有しています。従来の日・EU関係は通商を中心としたものでしたが、現在では、安全保障から気候変動・エネルギー、デジタルあるいは研究・イノベーションまで、より広範な分野において協力しています。
日・EU関係に関する詳しい情報は下記をご覧ください。
- 駐日EU代表部の役割は?
駐日EU代表部(Delegation of the European Union to Japan)は、日本においてEUを代表する外交使節団であり、そのトップは駐日EU大使です。代表部の主任務は、日本とEUの関係強化、EUの利益の促進および相互理解の増進です。EU代表部に関する詳しい情報は、こちら。
- 駐日EU代表部は報道機関のEUに関する調査・取材に対して、どのような協力を提供してくれるのですか?
駐日EU代表部は常に、EUに関する専門的な調査・取材に協力する態勢を整えています。個別のご質問は、[email protected]にご連絡ください。また、日本各地にあるEU情報センター(EU i)、オンライン広報誌『EU MAG』でもさまざまな情報が手に入ります。
- EU諸国を旅行するときは、ひとつの査証(ビザ)でいいのでしょうか? 駐日欧州連合代表部はビザを発給していますか?
通常、欧州に短期滞在する日本の旅行者はビザがいりません。また、ビザが必要な場合でも、駐日EU代表部にはビザを発給する権限がありません。ビザの申請については当該 加盟国の大使館 に問い合わせてください。(EU MAG関連記事「EU内の自由移動と査証について教えてください」)
- 第三者が欧州の旗(EUのシンボルマーク)を使用することはできますか?
第三者は次の場合に限って欧州の旗(EUのシンボルマーク)を使用することができます。
* 使用者がEUまたは欧州評議会と何らかの関連がある(実際にはないにもかかわらず)という誤解を与える恐れがないこと
* 使用者がEUまたは欧州評議会から後援や協賛など何らかの便宜を受けている(実際にはそうでないにもかかわらず)と一般の人に信じ込ませる恐れがないこと
* EUまたは欧州評議会の目標や理念に反する目的または活動に関連した使用ではないこと
使用目的が、上記の条件を満たす場合、書面による許諾申請の必要はありません。
詳しい情報はこちらをクリックしてください。
より詳しい情報の問い合わせ先を教えてください。
問い合わせは「[email protected]」にお寄せください。