EUと日本
通商・投資関係/日・EU間政策対話
二者間貿易
製品貿易が柱 (EU27, 2023)
EUの対日輸出のうち、機械類・輸送機器が34%、化学製品がおよそ24.5%、その他の工業製品が15.8%を占めています。また一次産品(農産品、原材料、エネルギーなど)は14%です。それと対照的に、日本からEUへの輸入は、機械類・輸送機器だけで総輸入額のほぼ62.5%を占め、化学製品は17%、一次産品は3%です。
サービス貿易- EUは対日サービス貿易で黒字を計上(EU27, 2023)
サービス貿易の対日輸出は、2021年の305億ユーロから2022年には372億ユーロに拡大し、2023年に362億ユーロの水準に安定しました。また、日本からの輸入は2021年の148億ユーロから2020年の170億ユーロ、2023年に180億ユーロに拡大しました。
対日サービス貿易におけるEU側の180億ユーロ強の黒字には、主に、通信・コンピューター・情報サービス、知的財産権関連の金融フローや他のビジネスサービスおよび金融サービスが寄与しています。
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経済連携協定(EPA)
EPAとは何か? なぜ重要か?
EPAは、EUがこれまでに締結した中で、最も重要な二者間協定の一つです。日本は、EUにとって8番目に大きな貿易相手であり、毎時およそ1,000万ユーロに値する財とサービスを輸出しています。また、ほぼ同額の輸入も行っています。現在、EUに投資しているおよそ5,000社の日系企業が、50万人強の人々を雇用しています。EUとその加盟国にとって、この日本との経済連携協定(EPA)は、EU企業が支払う、年額10億ユーロに上る関税の大半を撤廃します。
2023年2月1日、日・EU経済連携協定(EPA)発効5周年を迎えました。以下のデータは、EPAが日欧の貿易関係をより強靭なものにしていることを示しています。
二国間物品貿易は大幅に増加しましたが、Covid-19パンデミックの流行により、二国間貿易は13%減少しました(2019年から2020年の間)。
2021年の初めから、貿易フローはパンデミック以前のレベル(1,240億ユーロ)まで回復し、2022年にはさらに13.4%増加(1,406億ユーロ)し、2023年には1,344億ユーロまでに安定しました。
増加する日・EU EPAのPUR(Preference Utilisation Rate)について
優遇措置利用率(PUR)は、特定の貿易協定で提供される関税優遇措置が、どちらかの国の輸出入でどの程度利用されているかを測定するものです。
EU製品の対日輸出に関しては、PURは2019年の53%から2020年の63%を経て2021年には70%まで上昇し、(2022年には68%までわずかに低下した後)2023年に72,37%までに拡大しました。
農産品および関連商品のPURは、2021年の93.6%(2019年は85.2%)に比べ若干減少したものの、92.5%に達し、高水準を維持した。工業製品用PURについては、2021年の45.6%から2022年には58.3%に達しました。
EUの日本からの輸入については、PURは2019年の38%から、2020年の60%、2021年の65%を経て、2022年と2023年の67%まで着実に増加しています。
経済連携協定の主要な要素
本協定により、1億2,700万人を擁する日本市場が、EUの主要農産品輸出に開かれることになるとともに、さまざまな産業部門において、EUの対日輸出機会が増大します。
EUからの農産品輸出に関する協定内容として、特に重要なものは以下の通り。
- EU産ワインにかかる関税は発効時に即時撤廃(2019年2月1日発効)。
- ゴーダやチェダーといった多くのハードチーズにかかる関税(発効前関税率29.8%)が段階的に撤廃され、一方、モッツァレラのようなソフトチーズには無税枠の恩恵を受ける。
- パスタ,チョコレート、ココアパウダー、パスタ,チョコレート、ココアパウダー、キャンディー、菓子、ビスケット、でん粉誘導体、トマト調製品、トマトソースなど加工農産品にかかる関税は段階的に撤廃。
- EUからの対日牛肉輸出の大幅な拡大が可能になり、豚肉に関しては、加工品の関税が撤廃され、生鮮肉の関税も、ほぼ無税。
- 日本において、200を超す高品質な欧州のいわゆる地理的表示(GI)産品が確実に保護されると同時に、選抜された日本のGI産品についても、EU域内において保護されることとなる。
さらに、この協定により、特に、金融、電子商取引、電気通信、運輸などのサービス市場の開放が拡大します。また、日本の48大都市における大規模調達市場へのEU企業の参入が担保されるとともに、国レベルでは、経済的に重要な鉄道部門における調達に対する障壁が撤廃されます。自動車部門など、EUにおける特定のセンシティビティに配慮し、市場開放の前に移行期間が設けられます。
本協定には、貿易と持続可能な開発に関する包括的な章が盛り込まれているとともに、労働、食品安全、また環境保護に関する最高水準の基準が規定されています。また、持続可能な開発と気候変動へのEUと日本の行動の強化と公共サービスの全面的な保護が含まれています。
関連リンク
EU MAG記事「日・EU経済連携協定(EPA)発効5周年」(2024年2月)
工業製品
EUと日本との間においては、工業製品の貿易が非常に盛んです。実に日本のEUへの輸出品の75%以上、そしてEUから日本への輸出品の60%近くが次に挙げる3つの品目で占められています。
1.一般機械・機器: 機械・機械機器、電気機器
2.輸送機器:自動車・鉄道車両、航空機・船舶
3.化学関連製品:化学製品・医薬品
工業製品の二者間貿易は通商政策のさまざまな側面の影響を受けます。輸入関税に加え、いわゆる非関税障壁はEUと日本の間の貿易の流れを阻害する最も大きな要因となっています。異なる基準や技術要件、その他の規制および行政手続きに関する問題が国境に於いて、あるいはそれを超えて現在の貿易の制約となっています。それらは法令遵守、ひいてはビジネスのコストの増加に繋がる。交渉が妥結したEPAの主な目的の一つは双方においての非関税障壁の除去です。
EUの産業政策に関し、欧州委員会は2014年に「ヨーロッパの産業ルネッサンス」と題したコミュニケーションの中で鍵となる優先事項を発表しています。その中で下記の目標の達成を加速する為の新しい行動計画も提示しています。
- EU経済の競争力の維持の為、他の政策分野においても産業競争力の向上に主眼を置く
- 域内市場の潜在能力を最大化する
- イノベーション、スキルそして起業家精神の向上に繋がる地域開発政策手段を実施する
- 投資促進に必要不可欠の情報へのアクセスを促進する
- EU企業のグローバル・サプライ・チェーンへの統合を支援する
公共調達
EUと日本は、WTO政府調達協定の締約国であり、公的な資金は透明性を持って、効率的、かつ無差別的な形で使われるためのルールを設けています。しかしながら、欧州企業は日本での公共調達契約をなかなか獲得できない状況が続いています。
EUと日本は共に、世界貿易の自由化と拡大の進展に全面的に取り組んでいます。日・EU経済連携協定(EPA)は、公共調達において、残存する障壁を取り除き、日欧の企業が平等な条件で公共調達へ参加できることを担保する道を開きました。
公共調達における一層の市場開放はEUと日本の双方にとって有利に働くものであり、財政に余裕のない現状の中で、以下のメリットが生まれます:
- 費用対価値の増大
- より多くの選択肢
- 経済的な効率の向上
- 良きガバナンス
企業にとっては、以下のメリットに繋がります:
- 提供している商品あるいはサービスの需要の拡大
- 成長の機会の創出
- 既存の雇用の保護
- 新たな雇用の創出
公共調達とコンセッションとは?
公共調達とは、官庁や地方公共団体などの公的機関が、特定の目的のため選定した企業から事業や物品、サービスを調達するプロセスを指します。[例:公立学校の建設、検察庁による家具の購入、駅の清掃契約]
コンセッションとは、例えばインフラ開発のような、付加価値を生むと認められる特定の分野で公的部門と民間企業が結ぶパートナーシップです。多くの場合、官民パートナーシップ(PPP)という形をとります。公的機関が締結する契約においては、企業は、契約の対象事業・サービスの提供が完了した時点で、一定の金額を受け取ります。一方、コンセッション方式では、多くの場合、企業が事業を経営し、その事業やサービスの対価を受け取ることが出来るが、その一方で投資の損失リスクを抱えることになります。[例:道路・ 鉄道輸送、港湾・空港サービス、高速道路管理補修、廃棄物処理、エネルギー・暖房サービス、等]
政府調達に関するさらなる情報については下記を参照。
- 通商総局:http://trade.ec.europa.eu/doclib/docs/2017/july/tradoc_155719.pdf
- 日欧産業協力センター:www.eubusinessinjapan.eu/issues/economic-partnership-agreement/epa-public-procurement
EUの公共調達関連政策の推移
EUの公共調達に関する主要な法令は以下の通り。
- 公共調達指令 (Directive 2014/24/EU)
- 公共事業分野における公共調達に関する指令(水道、エネルギー、運輸、郵便事業、等) (Directive 2014/25/EU)
- コンセッション契約発注に関する指令 (Directive 2014/23/EU).
「公共事業分野」は、別のより柔軟性のあるルールが伝統的な公的部門の発注者(中央政府、地方自治体等)および国有企業や民間企業にも適用されています。「公共調達指令」とは異なり、「公共事業分野に関する指令」は公的事業者が発注した契約、または独占的もしくは特別の権利を付与された民間企業がこの分野において締結した契約にも適用されます。
EU市場での公共調達の規制に加えて、EU域外では、国際公共調達市場の大胆な開放を提唱していると同時に、特定の外国の物品、サービスそして企業のEU公共調達市場へのアクセスを開放することに取り組んでいます。EUは二者間、地域間、また多国間の国際協定の交渉を行っており、また公共調達市場での平等なアクセスと互恵主義の確保に向けて、国際的な場で活動しています。
関連リンク(英語)
欧州委員会の公共調達関連政策:通商総局; 域内市場・産業・起業・中小企業総局; Tenders Electronic Daily (TED)
投資
EUと日本の関係において日欧間の投資フローの促進はますます重要な課題となっており、日・EU経済連携協定(EPA)の交渉の場でも議論されていました。投資の拡大は相互の利益につながります。日本経済が開放的なものとなり、欧州企業が円滑に貿易を行うことができ、事業活動の展開のために支店や子会社を容易に設立できるようになることは、EUの利益となります。日本にとっては、外国直接投資(FDI)が経済発展のために重要な役割を果たします。
EPAの投資保護条項は、以下の行為を禁止する基本原則に沿って、政府が日・EU間の投資を保護することを担保し、投資を奨励するものです。
- 差別
- 外国投資を補償無しに収用すること
- 海外投資家に対する国内法廷での裁判拒否
- 日本またはEUの投資家が相手の領域内で不当もしくは恣意的な扱いを受けること
投資とは?
資本の自由な移動は欧州単一市場の柱であり、また「4つの自由」の1つです。自由な資本移動は、統合され、開かれ、競争力があり、効率的な欧州の金融市場と金融サービスを可能にし、全ての人に多くの恩恵をもたらします。それは市民にとっては、例えば銀行口座の開設、外国企業の株式購入、最も高いリターンを得られる場所での投資、不動産購入などのさまざまな国外での活動を可能にするものです。企業にとっては、国外の企業への投資、またはその所有、経営参加が可能となることを意味します。
海外直接投資とは、他国の企業がその国の生産や事業に直接投資することです。EUは長い間先陣を切って、欧州の企業や投資家による他のEU加盟国および第三国への投資を後押ししてきました。また、第三国からのEUへの投資も促進しています。投資は全ての者にとって相互利益となり、今日世界が金融危機や経済停滞からの脱却を目指す中、一層重要度を増しています。
EUは世界における主要な外国投資の提供者であり、また投資先でもあります。2019年末時点で、EUに居住する投資家が世界の他の地域で保有する外国直接投資額(ストック)は、8兆9,900億ユーロに達しており、その内1,082億ユーロは対日投資です。一方、第三国の投資家からEUへの外国直接投資額(ストック)は、日本からの2,170億ユーロを含め7兆1,380億ユーロとなっています。
投資関連政策
投資はEUの共通通商政策の一部を成しているため、欧州委員会が投資関連法令に関する責任を担っています。EUの投資政策は以下を目指すものです。
- EUの海外投資家が差別や不当な扱いを受けないように、公平な競争条件を確保。
- 予測可能で透明性のあるビジネス環境を構築することにより、投資を容易に。
- 持続可能な開発、人権の尊重、高い労働・環境基準を支援する投資を奨励。これには、企業の社会的責任と責任ある企業活動の促進が含まれる。
- EUの本質的な利益を保護しつつ、国際的な投資をEUに誘致。
- 投資元の国および受入国が、公益のために自国の経済を規制する権利を維持。
加えてEUは、安定的かつ安全で有益な外国投資に対しては、可能な限り開放的な市場を約束し、国際的な場や二者間投資対話および貿易協定、そして主に政府系投資ファンドなどの第三国の投資家を通じて、これらの原則を世界的レベルで推進することに努めています。
関連リンク(英語)
欧州委員会の投資関連政策: 通商総局; Destination Europe 〜 魅力ある海外直接投資先としての欧州単一市場(PDF)
サービス
EUは世界最大のサービス貿易圏です。サービスは現代経済のバックボーンであり、製造業、鉱業や農業よりも、世界の経済成長や雇用創出に貢献しています。サービス貿易は、EUと日本の双方の経済にとって不可欠です。
EUと日本は、既に多くのサービスを相互に輸出していますが、EU 企業は日本にサービスを販売するに当たって未だ障壁に直面しています。EUの通商戦略は、多国間の自由化の取り組みを、特恵貿易協定におけるより深いコミットメントで補完することを目指しています。
サービスには関税がないため、サービス貿易の開放は国境で障壁を取り除くことではありません。それは主に、EU企業がEU域外でサービスを提供する際に妨げとなる差別的・量的制限に対処することです。
これに対応するため、日・EU経済連携協定(EPA)はサービスに関する包括的で野心的な条項を含んでいます。さらに、サービスは、世界貿易機関(WTO)の複数国間および多国間交渉(サービスの貿易に関する一般協定、国内規制および電子商取引に関する多国間交渉)における重要な議論の対象となっています。
サービスとは?
サービスの貿易は、ビジネス・専門、金融、電気通信、輸送、郵便・宅配便、小売・流通、建設、環境、健康、教育、観光、娯楽・レクリエーションなど、非常に多様な分野をカバーしています。
貿易の性質が進化するにつれ、商品とサービスはますます結びついてきています。貿易は、知的財産権(IP)の保護に支えられたイノベーション主導型になりつつあり、モノに比べてサービス貿易の役割が大きくなっています。
サービスは、金融サービス、通信、情報技術(IT)、輸送、物流等のバリューチェーンに直接貢献するだけでなく、製造業の製品に組み込まれることで貢献します。経済のサービス化とデジタル技術の台頭は、高収入で質の高い雇用を創出し、経済成長を促進してきました。
2021年2月に採択されたEUの通商政策文書「An Open, Sustainable and Assertive Trade Policy」では、EUの通商政策を達成するために重要な6つの分野を特定しており、デジタルへの移行とサービス貿易を支援することがその中に含まれています。
EUのサービス関連政策の進展
2006年、EUは「サービス指令」 (Directive 2006/123/EC) を採択し、消費者と企業の双方が簡単にサービスを提供または購入することを可能にし、域内市場の恩恵を全面的に受けられるよう保障しました。この指令は加盟国での事業の立ち上げを容易にすると同時に、事業所を設立することなく、他の加盟国にも国境を越えてサービスを提供できるよう、サービス提供者への規制環境を改善することを目指してい、ます。サービス指令は加盟国に対し、お役所仕事を廃止し、事業者とサービスの受益者に対し透明性を向上させ、不当なまたは過度な要求を排除することを義務付けています。当該指令は明白にその適用範囲から除外されている場合(例:金融サービス、ギャンブル)を除いては、全ての活動および分野に適用されます。
欧州委員会は、EUのデジタルサービスに関する規則を改善するために、デジタルサービス法(DSA)とデジタル市場法(DMA)という2つの法律案を提案しました。DSAとDMAは、より安全で開かれたデジタル空間を実現するために、EU全体に適用される単一の新しいルールを形成するものである。DSAとDMAの主な目的は2つあります。
- デジタルサービスを利用する全てのユーザーの基本的な権利が保護され、より安全なデジタル空間を構築。
- 欧州単一市場および世界の双方で、革新、成長、競争力を促進するための公平な競争条件を確立。
関連リンク(英語)
欧州委員会のサービス関連政策:通商総局;金融安定・金融サービス・資本市場同盟総局;域内市場・起業・中小企業総局;モビリティー・運輸総局;通信ネットワーク・コンテンツ・技術総局
環境、気候変動およびエネルギー
環境
気候変動や環境悪化は欧州と世界の存続を脅かす脅威です。EUは過去数十年にわたり、これらの課題を克服するために幅広い環境関連の法律や取り組みを実施してきました。EUは、最近では2019年12月に欧州グリーンディール――公正で気候中立、かつ資源効率が高く競争力のある経済――という野心的なビジョンを採択しました。循環経済はそのビジョンの不可欠な部分であり、持続可能な生産と消費のカギとなります。そのため、EUは2020年3月に新循環経済行動計画を採択しました。この計画には、設計・製造から消費・修理・再利用、リサイクル(再資源化)に至るまで製品のライフサイクル全体を対象とした取り組みが含まれています。
強調される点は防止、特に廃棄の防止に重点を置き、低炭素循環経済への移行を通じて天然資源への圧力を軽減し、持続可能な成長と雇用を創出することを目的としています。
この計画の主な柱は2024年7月18日に発効した「持続可能な製品のためのエコデザイン規則」となっています。
EUは、気候と環境はグローバルな課題であり成功させるためには他国と共同で取り組まなければならないことを認識しています。そのため、EUは「循環経済と資源効率に関するグローバルアライアンス」(GACERE)や「プラスチックに関するグローバル協定」をはじめとする地球規模の取り組み、および生物多様性(CBD)や絶滅危機種の取引(CITE)などのさまざまな国際協定を立ち上げ、またはそこに参加しています。
欧州グリーンディール
欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長が提唱した「欧州グリーンディール」は、様々な課題に対応するものです。これは、2050年に温室効果ガス排出が実質ゼロとなり、経済成長と資源利用が切り離され、自然資本が保護・強化され、国民の健康や福祉が環境関連のリスクや影響から守られるような、近代的で資源効率が良く競争力のある経済を実現し、EUを公正で繁栄する社会に移行することを目指す新しい成長戦略です。欧州グリーンディールは社会の全ての部門の移行を必要とし、多額の初期投資により欧州を持続可能で包摂的な成長への新たな道へ導きます。しかし気候変動や生物多様性の損失は地球規模課題であるため、欧州グリーンディールの野心は国境に縛られることはありません。EUは全ての国々にこの変革に参加することを促し、日本を含む同じ志を有すパートナーとの連携を構築していきます。欧州と日本は2021年5月に開催された日・EU首脳協談においてグリーンアライアンスを結ぶこととしました。これはEUにとって初めてのもので、今後数十年間に、気候中立で循環型で資源効率の高い経済への移行を加速させることを目的としています。両者は環境保護、生物多様性の保全、気候変動への対応に関する協力を強化することで合意しました。
気候変動
EUは2050年までに気候中立(温室効果ガス排出量実質ゼロの経済)を達成する法的拘束力のある目標を設定しました。欧州グリーンディールの一環としてEUは温室効果ガス削減の野心的な中期目標(2030年までに1990比で55%削減)を設定し、エネルギー移行に関するさらに野心的な新たな目標(2030年までに、再生可能エネルギーの割合を少なくとも42.5%に引き上げ、最終エネルギー消費量を11.7%削減する)に合意しました。これらの目標は、2050年長期戦略で示されている低炭素経済への転換を達成するための軌道にEUを乗せるためのものです。EUは定期的なモニタリングや報告を通じて排出削減の進捗状況を把握しています。
パートナー国との協力はEU気候変動政策において重要な部分を占めます。日本とはハイレベル気候対話を通じて気候政策の経験やベストプラクティスなどを共有しながら協力を進めています。EUと日本は気候変動の緩和において世界的な協力を促進するため、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)などの国際場裡でも協力しています。
日・EU経済連携協定(EPA)にはパリ協定の実施におけるEUと日本の協力が含まれています。
気候変動に関する『EU MAG』の記事は下記を参照。
- 「EUと日本、洋上風力発電の風に『相乗り』」(2024年4月)
- 「EU、COP28で世界の気候野心の引き上げ追求」(2023年11月)
- 「脱炭素と経済成長の両立を図る『欧州グリーンディール』」(2020年2月)
エネルギー
EUのエネルギー政策の主な目的は、欧州のエネルギー源を多様化し、EU加盟諸国間の連帯と協力を通じてエネルギー安全保障を担保すること、また、完全に統合された域内エネルギー市場が機能し、適切なインフラを通じ、かつ技術的・規制上の障壁なしにエネルギーの自由な流通を確保することにあります。さらに、エネルギー効率を改善し、輸入エネルギーへの依存度を低減すること、排出を削減し、雇用と経済成長を促進すること、パリ協定に沿って経済を脱炭素化し、低炭素経済に移行すること、そして低炭素・クリーンエネルギー技術の研究を促進し、エネルギーの移行および競争力を高めるための研究とイノベーションを優先すること、も目指しています。
EUと日本は、エネルギーシステムの脱炭素化、再生可能エネルギーの促進、水素、電力市場改革、液化天然ガス(LNG)市場など、さまざまなエネルギー問題において連携しており、毎年開催されるエネルギー対話にてEUと日本の政策動向について意見を交換、協力のための優先事項を特定、また、国際場裡で見解を議論しています。
第4回「世界首長誓約/日本」運営委員会を駐日欧州連合代表部でハイブリッド開催(2023年2月2日)
第4回「世界首長誓約/日本」運営委員会が2023年2月2日、駐日欧州連合(EU)代表部にて、オンラインを含むハイブリッドで開催されました。首長運営委員のニセコ町長、所沢市長、与謝野町長、五島市長が対面で、京都市長がオンラインで、加賀市と豊橋市は代理が参加。駐日欧州連合代表部のハイツェ・ジーメルス公使および白石隆夫環境省地域脱炭素推進審議官、運営委員長の門川大作京都市長から開会の挨拶がありました。
運営委員会では、片山健也ニセコ町長の議長のもと、藤本正人所沢市長のCOP27サイドイベント参加報告があり、事務局からは「世界首長誓約/日本」の2022年活動報告や2023年活動計画、世界事務局のプログラム紹介等の情報提供が行われました。さらに「世界首長誓約/日本」の2024年以降の進め方について意見交換が行われました。
農業および食品安全
EUと日本は、農業には単に国民に食料を提供するだけではなく、田園の景観、環境、伝統を守る目的がある、という考え方を共有しています。東京とブリュッセルで開催される日本とEUの二者間ハイレベル協議 や、多国間協議(WTO動物および植物検疫措置に関する委員会、WOAH、CODEX会議、FAO・WHO合同食品添加物専門家会議、WTO における農業交渉など)において、EUは日本と意義のある意見交換を活発に行っています。
開かれた貿易は欧州の農業部門にとって最も重要であり、欧州の農業従事者および食品加工業者は貿易に依存している。欧州の生産者は高い品質の食品や飲料によって世界中で知られています。
日本は主要な食品の輸入者であり、世界最大級の食品市場を有しています。しかしながら、市場参入における大きな貿易障壁や物品に課される高い関税によって、欧州の生産者が日本向けに輸出できる商品の種類は限られ、その結果、日本で手に入る欧州産食品の範囲は限定され、小売価格も高かったのです。
日本とのEPAによって、透明性が高まり、明快な規制枠組みが構築されました。これにより、欧州企業の日本市場参入が容易になり、EUの市場占有率が適切なレベルに上がると期待されています。
日本自身も近年、日本の農業部門の競争力の改善や農産品の輸出増加に力を入れています。貿易の機会を手にすることにより農業部門にも経済成長がもたらされる可能性を日本が認識し始めましたが、これで日本も他国の市場への参入は一方的にできるものではないことが把握できるでしょう。開かれた貿易から農業分野を閉ざす代わりに、よく考慮された農業政策を取り入れるーそうすることで、農業部門が開かれた貿易の中でのメリットを享受できるのです。
EUの場合、共通農業政策(CAP)や1980年代から行われている大幅な改革により、EUが主な貿易交渉に参加する地盤をつくることができました。それは今日も続いています。
食品添加物の承認
食品の安全は、日本とEUの協議において主要な議題でした。日本の食品添加物リストは時代の流れに追いついておらず、国際基準に合致する形で改定することが必要です。2002年12月、日本は「国際的に安全性が確認され、汎用されている」46の添加物を優先的にリスク評価する対象として特定しました。これらはWHO・FAO合同添加物専門家会議においてすでに評価され、EU加盟国や米国を含む多くの国々で使用されている物ばかりであるにもかかわらず、日本政府は、日本独自の基準に基づいて個別に評価すべきであるという立場を曲げませんでした。20年以上が経ち、46のうちEUの関心のある添加物についての承認は完了しましたが、未だ評価と承認を経なければ日本市場で使用できない添加物の数はかなり多いのが現状です。そのため、高品質で高い安全性を誇るヨーロッパの食品・飲料の多くが、今も日本市場に参入できません。ワイン添加物についてはEPAでの合意の下、欧州で汎用されているワイン添加物の承認がなされ、欧州から日本へ、より多くの優れたワインが輸出されるようになりました。
データ・フローとデジタル経済
一般データ保護規則
EUの「一般データ保護規則」(Genaral Data Protection Regulation = GDPR)は、既存の権利・義務の定義を明確化し、新たな権利(データポータビリティーの権利など)・義務(データ侵害通知など)を導入することで、個人が自分のデータをよりよく管理できるようにしています。EUのデジタル単一市場は、このように統一された規則、データ保護のために近代化されたガバナンス、個人データに関する規則の一貫した適用を担保する強化された制度を基盤としています。
日本企業は、EU 域内の事業所の活動に関連して個人データを取り扱う場合や具体的にEU域内の消費者に物やサービスを提供したり、その消費者の行動を監視したりすることでEU市場を標的とする場合には、GDPRの遵守が求められます。
EU域外への情報移転もまたGDPRの対象となりますが、同規則はデータ移転に関するさまざまな手段を提供しています。また2019年1月には、日本は、日・EU間の個人データの移転に関する保護の水準の十分性に関する認定を受けました。欧州委員会の十分性認定に関する決定は、日本の個人情報保護法に関するもので、個人情報保護法と一般データ保護規則の特定の重要な相違点を調整する目的で定められた「補完的ルール」により補完されています。
こうした決定の効力により、EUから日本への個人データの流通がさらなる保護措置を必要とすることなく可能になります。日・EU間の十分性に関する合意については、2023年に定期的なレビューが成功裏に実施され、日・EU間でデータ保護制度の収斂が進んでいることが示されました。
日・EU経済連携協定に基づく国境を越えたデータ流通
2024年、日・EU経済連携協定(EPA)に国境を越えたデータの流通に関する新たな規定が追加されました。
合意された時点で、経済連携協定には、2019年の発効から3年以内に国境を越えたデータ流通に関する規定を盛り込む必要性について検討することを定めた条項が含まれていました。その後、検討を踏まえて正式な交渉が2022年10月に開始され、2023年10月に交渉がまとまり、新たな規定が2024年7月1日に発効しました。
新たな規定は、国境を越えたデータ流通を可能にする重要な枠組みとなるもので、金融、運輸、機械から電子商取引まで大半の部門で活動する企業に実質的な恩恵をもたらします。また、煩雑な管理・保管要件をなくして企業がデータを効率的に扱えるようにし、企業に予測可能な法的環境を提供します。さらに、費用のかかるデータローカライゼーション要件を撤廃したことも合意の重要な点です。
データと日・EUデジタルパートナーシップ
日・EUデジタルパートナーシップに基づいて、EUと日本は、「信頼性のある自由なデータ流通(Data Free Flow with Trust:DFFT)」の実現に向けて緊密に連携しており、EUの日本に対する十分性認定の範囲を学術関係や公的部門に拡大することに向けた協議が現在進んでいることを歓迎しています。
またEUと日本は、双方の業界団体を巻き込んで、欧州と日本のデータスペース間の相互運用性の向上を目的に協力を進めています。こうした協力では、同分野の標準化にも取り組みます。
関連リンク
EU MAG記事「EUと日本、データの自由な流通で経済関係強化へ」(2024年4月)
ビジネスネットワーク
日欧産業協力センター
日欧産業協力センターは、1987年に欧州委員会(DG GROW)と日本政府(経済産業省)によって設立された、日欧間のあらゆる形態の産業、貿易、投資協力を促進するための共同事業です。双方が共同で出資し、運営しています。東京に本部を置き、ブリュッセルにも事務所を構えています。センターのすべての活動の概要はウェブサイトをご覧ください。
日・EUビジネス・ラウンドテーブルは、日・EUを代表する企業のCEO/上級管理職約76名で構成されており、年に一度、ビジネス協力のあらゆる側面を検討し、欧州委員会と日本政府に政策提言を行っています。日本と欧州の産業の経済的成功に貢献することを目的としています。双方にとって有益な取り組みを特定し、日欧の政府が達成した進捗状況を把握しています。議論の対象は、経済、ビジネス環境、時事問題など、さまざまなトピックです。
欧州ビジネス協会(EBC)
欧州ビジネス協会(EBC)は欧州15カ国の在日商工会議所・ビジネス団体にとっての貿易政策部門であり、在日欧州(連合)商工会議所として登録されている。会員は法人と個人を合わせ現在約2,500 を数え、駐日EU代表部および欧州各国の大使館や企業組織と緊密に協力し、政策にかかる提案の調整や、日本市場における貿易・投資のための開かれた 環境を築くべく日本政府への提言を行っている。EBCは22の産業別委員会ごとに関心のある主要な問題を取り上げた、日本の商環境に関する年次報告書を作成 している。これまでの報告書はEBCのウェブサイトで見られる。
Access2Markets
『Access2Markets』(英語サイト)は、欧州委員会通商総局が提供する、インタラクティブな無料のオンラインポータルで、EUへの輸出入を希望する企業に対し、適用される関税や域内でかかる税金、税関手続き、商品が満たすべき条件、存在する障壁などに関する情報を提供しています。
『Access2Markets』には「ROSA (Rules of Origin Self-Assessment)」 というツールがあり、輸出もしくは輸入を考えている商品が原産地規則の要件に合致しているかを自分で確認できます。
また、海外との貿易に馴染みのない企業は、物品やサービスの貿易に関する段階的手順のガイドや重要な貿易のコンセプトの説明、役立つ問い合わせ先、企業の成功談、そして貿易関連の最新情報といった、より詳細なアドバイスを『Access2Markets』から入手できます。
日・EU間政策対話
政策対話とは、EUと日本が関心を共有する政策分野ごとに協議や意見交換などを行う定期的な場です。
主要な政策対話は以下のとおり。また、経済連携協定(EPA)の下で、日・EUは定期的にテーマ別の委員会や作業部会を開催しています。一覧はこちら(英語)。
ICT政策対話
通商、インターネットガバナンス、セキュリティ、規制枠組み、共同研究開発等を含む、情報通信技術(ICT)などに関連した問題に関する例年の対話です。
サイバー対話
初めての日・EUサイバー対話は2014年の秋に開催され、日本とEU双方におけるサイバー関連の政策議題、安全性、犯罪ならびに国際的側面について話し合われた。また、サイバー空間に適用される規範や規則・原則、および能力構築についても検討されました。
宇宙政策対話
この対話では、EUおよび日本における宇宙政策の現状に関する情報が共有され、宇宙分野におけるEUと日本とのさらなる協力関係に向けた意見交換が行われます。
産業政策対話
日・EU産業政策対話は、日本とEUの共通の関心事項を徹底的に議論し、規制の収れんに向け共に取り組む場です。EUが「欧州グリーンディール」を最優先事項として策定する中、日本とEUはよりグリーンで循環型、そしてデジタル化された経済への産業転換に焦点を当てています。レジリエントでかつ開かれたサプライチェーンの構築は、EUが日本とも共有する優先課題です。
当対話は20年以上も前から産業競争力の強化という共通の課題を抱える日欧双方にとって貴重な議論の場となっています。気候変動、循環経済、第三国からの競争の激化、エネルギー効率の向上、産業や企業のデジタルトランスフォーメーションなどが主な議題です。
日・EU産業政策対話には、基準認証、企業の社会的責任、化学品、ロボティックス、および環境・地球温暖化などの技術的ワーキンググループが設けられています。
日・EU税関協力
EUと日本は税関に関する事項において、長年にわたり協力関係を築いてきました。2008年に双方は「税関に係る事項における協力及び相互行政支援に関する日本国政府と欧州共同体との間の協定」を締結しました。本協定の実施状況については、日・EU税関協力合同委員会(JCCC)が定期的に評価を行っています。さらに日・EU 経済連携協定(EPA)の下、協定の円滑かつ効率的な実施を促進し、EUと日本の間の貿易の拡大を目指すべく「原産地規則および税関に関連する事項に関する専門委員会」が設置されました。
双方はWTOにおける貿易円滑化や世界税関機構における途上国のキャパシティービルディングなど、国際的な場でも緊密に協力しています。
鉄道産業間対話
この対話は、参加者間の互恵的な協力と意見交換を推進することを目的とし、企業と政府の双方の視点を取り入れながら、民間事業者による調達と購買を含む鉄道分野の二者間貿易を円滑にするものです。
EUと日本における調達の透明性、市場参入ためのベスト プラクティスに関する意見交換、技術規則、安全規格等が協議されます。また、この対話は鉄道産業関係者同士の取引を促進するという役割も果たしています。
環境に関するハイレベル対話
EUと日本は環境関連の問題について多くの関心と懸念を共有。本対話は生物多様性、循環経済、海洋プラスチックごみなど幅広い共通の関心事項を取り上げています。
気候変動に関するハイレベル対話
気候変動に関する共通の課題、特に地球温暖化への取り組みについて協議するために、ハイレベル対話が毎年開催されています。この対話は通常、前年末に開催のUNFCCC(国連気候変動枠組条約)の締約国会合(COP)の結果を受けて、年初に開催されています。
エネルギー対話
エネルギー安全保障とクリーンエネルギーの促進は、日本とEUにとって重要な政策課題です。適正価格で安定したエネルギーを供給するため、エネルギーの供給源および種類の多様化、エネルギー効率の向上、また再生可能エネルギーの開発は、日欧の共通の関心事項です。クリーンエネルギー経済への移行段階にある日本とEUは、開放的で透明性が高く競争力のあるエネルギー市場と効率的な法制あるいは規制の枠組みの促進に向けて、定期的に意見交換をし、またお互いからベストプラクティスを学びあっています。主な日・EU協力分野として、LNGや水素が挙げられています。
シェールガスの生産が増加しつつある中、2013年より日欧の専門家がガス市場の研究プロジェクトを進めています。この共同研究の主な目的は、変化するガス市場に関する双方の見解を共有、分析し、いかに市場を機能させるか、あるいはより流動的で柔軟な世界ガス市場へ向けて政府がどのように支援を行うべきかを議論することです。主な日・EU協力分野として、LNGや水素が挙げられています。
食品安全対話
欧州食品安全機関と日本の食品安全委員会は毎年食品安全対話を行っています。両者の行動計画には、食品添加物の認可手順規則などの優れた実践例の共有を最たる目的として、いくつかの分野での協力が行われます。
漁業・海洋政策に関するハイレベル対話
定期的に開催されるこの協議では、多極間および二者間の問題に関する幅広い問題が取り上げられ、双方の漁業政策に関して意見交換を行います。
日・EU経済関係
EUと日本は毎年、財務省(財政・予算)ならびに内閣府(経済政策全般)と欧州委員会との間で、日・EU経済協議を開催しています。協議では主に、世界経済見通しや財政・金融政策の最新動向に関する意見交換などが行われる。また日・EU双方における構造改革の進展についても定期的な話し合いを行っています。
日・EU合同金融規制フォーラム
日・EU合同金融規制フォーラムは日・EU EPAの下、金融分野における最近の規制の動向に関する意見交換の場として、また規制および監督制度における日・EU協力の枠組みの構築を目的として設立されました。EUと日本は二者間の問題のみならず20カ国・地域首脳会議(G20)や金融安定理事会(FSB)における共通の関心事項についても議論します。
フォーラムは銀行、保険、ベンチマーク、金融派生商品、会計、投資ファンドなどに影響を与える最近の改革に焦点を合わせ、同等性、持続可能な金融、バーゼルIII、銀行同盟、金融テクノロジー(Fintech)などのトピックが含れます。持続可能な金融の分野でEUは、サステナブルファイナンスに関する国際的プラットフォーム(International Platform on Sustainable Finance)を推進します。
運輸政策対話
航空、海事、道路、鉄道の分野にわたり、定期的な運輸政策対話を行っています。
競争政策に関する対話
EUと日本は2003年に反競争的行為に関する協力協定に調印し、日本の公正取引委員会とEUの競争総局との間で毎年競争政策に関する協議を行い、情報交換や最近の動向に関する議論を行っています。また、双方は、130の国・地域の141の競争当局の担当者が一堂に会し、競争政策の動向を話し合う国際競争ネットワークにも定期的に参加しています。
2003年にEUと日本の間で調印された反競争的行為に関する協力協定に基づいて、双方の競争当局は相手側の重要な利害に影響を及ぼすと思われる執行活動に関し、例えば合併の事例や日本企業が関与した法的手続きについての告知を含め、情報を提供することになっています。同協定は執行活動の調整および協力を行うことも規定しています。また、相手側の領域内で発生した反競争的行為に対して、執行活動を行うよう要請することが可能となっています。
また、日・EU経済連携協定(EPA)は、競争政策分野における二者間協力をさらに強化します。
経済に関するハイレベル対話
EUと日本は、欧州委員会(通商総局)、外務省、経済産業省が共同議長を務める経済に関するハイレベル対話(HLED)を毎年開催している。協議では、サプライチェーンの強靭性、経済安全保障、輸出規制、多国間貿易システム(WTO)、データの流れに関する意見交換など、幅広い経済問題を取り上げています。