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G7首脳声明

12.12.2022

EU News 245/2022

<日本外務省仮訳>

  1. 我々、G7の首脳は、12月12日、深刻な地政学的危機及び世界経済にとって重要な局面に際して、グローバルな課題に共同で取り組むためのドイツ議長国の下における我々の協力の進展を振り返るために会合を行った。我々は、ヴォロディミル・ゼレンスキー・ウクライナ大統領の参加を得た。本年、ロシアの違法で、不当で、いわれのないウクライナに対する侵略戦争に直面する中で、我々は、ウクライナと共に、我々の共通の価値観、ルールに基づく多国間秩序及び国際協力への揺るぎないコミットメントについて、これまで以上に一致団結している。
  2. 本日、我々は、進行中のロシアの侵略戦争に直面する中で、必要とされる限りの我々の揺るぎないウクライナへの支持と連帯を再確認する。我々は、特にエネルギー・水道設備といった重要インフラ及びウクライナ全土の都市を標的としたロシアの継続的な非人道的で残酷な攻撃を非難し、無差別な攻撃及び一般市民や民用物に対する攻撃は戦争犯罪を構成することを想起する。我々はまた、プーチンの違法な戦争を容易にしている者を非難する。我々は、ウクライナが重要なエネルギー及び水インフラを復旧し、回復し、防衛する支援を行うことを決意する。我々は、越冬対策のニーズを満たすようウクライナを支援し、ウクライナの民間の強靱性を引き続き支援し、この点に係る我々の取組を12月13日のパリでの国際会議において更に強化する。我々は、ロシアの残酷な戦争によって損害を受け又は破壊された重要インフラについて、ロシアが最終的に回復の代価を払う必要があると決意する。戦争犯罪及び他の残虐行為に関する不処罰は認められない。我々は、国際法に従って、プーチン大統領とその他の責任を有する者の責任を追及する。我々は、ロシアの無責任な核のレトリックは受け入れられず、化学兵器、生物兵器又は核兵器のいかなる使用も、厳しい結果に繋がることとなることを改めて表明する。
  3. これまでの我々のコミットメントに基づき、我々は、ウクライナの緊急の短期的な資金需要に対処することを支援するため、国際的な支援を引き続き促す。我々は、我々の財務大臣に対して、2023年における調整された財政支援のための共同のアプローチを議論するために近日中に会合を行うよう求める。我々は、国際通貨基金(IMF)がこの取組の中心となるべきことを確認する。
  4. 我々は、ウクライナの欧州への道に沿って、ウクライナの即時の金融の安定並びに持続可能で、繁栄し、民主的な未来に向けたウクライナの復興及び再建を確保するための取組を強く支持する。我々は、ベルリンでの10月25日のウクライナ復興・再建・近代化に関する国際専門家会議並びにロンドンでの2023年6月21・22日のウクライナ復興会議の成果を基礎とする。特に、ウクライナの復旧、復興及び再建を支援する観点から、我々は、ウクライナ及び国際的なパートナーと共に、また、関連する国際機関及び国際金融機関との緊密な調整の下で、複数の機関から成るドナー調整プラットフォームを設置する。このプラットフォームを通じて、我々は、短期的な財政支援については財務トラックに特別な責任を持たせつつ、現在行われている短期的及び長期的な支援を提供するための既存のメカニズムを調整し、更なる国際的な資金及び専門的知見を調整し、ウクライナの改革アジェンダ及び民間部門主導の成長を奨励する。我々はまた、このプラットフォームの事務局を設置する。我々は、このプラットフォームの設置及び継続的な調整の取組を監督する政府高官の代表をそれぞれ指名し、2023年1月のできるだけ早い時期に会合することを求める。
  5. 実行可能な戦後の和平調停のため、我々は、関心国及び機関並びにウクライナと共に、国連憲章に規定される権利に沿って、ウクライナが自らを守り、自由で民主的な未来を確保し、将来のロシアの侵略を抑止することを支援するための持続的な安全保障や他のコミットメントに関する取り決めを引き続き策定する用意がある。
  6. 我々は、防空システム及び能力をウクライナに供与することに直近の焦点を当てるとともに、ウクライナの軍事及び防衛装備に関する緊急の要求を満たすための取組を引き続き調整する。
  7. 我々はまた、ロシアによるウクライナのザポリッジャ原子力発電所の継続した占拠及び軍事化、ウクライナ人職員の拉致及び報告されている虐待、並びに同発電所の運用の意図的な不安定化に対する我々の強い非難を改めて表明する。我々は、原子力安全及び核セキュリティ保護区域を設定するための国際原子力機関(IAEA)の取組を支持する。
  8. ロシアの侵略戦争は終わらなければならない。今日まで、我々は、ロシアが持続可能な平和に向けた取組にコミットしているという証拠を目にしていない。ロシアは、ウクライナに対する攻撃を中止し、ロシア軍をウクライナの領土から完全かつ無条件に撤退させることで、この戦争を即時に終わらせることができる。我々は、ゼレンスキー大統領の公正な平和に向けたイニシアティブを歓迎し、支持する。
  9. 我々は、ロシアの侵略戦争に対する前例のない協調した我々の制裁措置に引き続きコミットしている。我々は、ロシアに対する、また、我々の制限措置を回避し、損なう者に対する経済的圧力を維持及び強化する。我々は、ロシアの侵略戦争による影響並びにロシアによるエネルギー及び食料の武器化により深刻な影響を受けている脆弱な国々を引き続き保護する。
  10. 我々は、ロシア産の原油及び石油製品を我々の国内市場からフェーズアウトさせる我々の意図を再確認する。2022年12月5日の週に、我々のそれぞれの管轄下で海上輸送されるロシア産原油に対する上限価格が施行され、ロシアがウクライナに対する侵略戦争からロシアが利益を得ることを制限し、世界のエネルギー市場の安定化を支援し、及び特に低中所得国へのロシアの侵略戦争による負の経済的影響を限定するという我々のコミットメントを実現している。我々は、海上輸送されるロシア産の原油及び石油製品を輸入することを求める第三国が上限価格を活用することを奨励する。我々は、ロシア産の石油製品に対する上限価格を2023年2月5日に施行するという我々の決定を改めて表明する。
  11. ロシアのウクライナにおける戦争は、我々自身の国民の生活費及び世界で最も脆弱な国々に直接的な影響を及ぼしつつ、世界経済における既存の脆弱性を悪化させている。我々は、支援を最も必要とする人々を対象とした支援を提供し、外的ショックや広範なリスクに対する我々の集団的経済安全保障を強化すべく協働しながら、世界的な金融、マクロ経済及び物価の安定並びに財政の長期的な持続可能性を維持するために、利用可能なあらゆる政策手段を引き続き用いる。我々は、長期的な成長を促進するために、公共投資と構造改革を行う。我々は、最も脆弱な国々の緊急のニーズに応えるために更に協調し、持続可能な経済の道筋を実現する重要な手段として、発展途上市場及び新興市場への民間投資を奨励する。
  12. 我々は、食料安全保障のためのグローバル・アライアンスを含め、世界の食料不安に対処する野心を持ち続ける。我々は、支援を必要とする脆弱な国々への穀物及び肥料の輸送を引き続き支援し、国連世界食糧計画(WFP)が主導するこの分野での最近の活動を歓迎する。我々は、ウクライナの食料を世界にもたらす更なる取組、すなわちEUの連帯レーン及び「ウクライナからの穀物」イニシアティブとともに、黒海穀物イニシアティブ(BSGI)の延長を歓迎する。
  13. パリ協定並びに国連気候変動枠組条約締約国会議第26回及び第27回(COP26及びCOP27)の成果を実施するという我々の確固たるコミットメントを再確認し、我々は、地球温暖化を工業化以前の水準と比較して摂氏1.5度までに抑えるため、この10年間の緊急で野心的かつ包摂的な気候行動にコミットする。我々は、遅くとも2050年までにネット・ゼロ排出を達成するという我々のコミットメントを再確認する。そのために、我々は、6月にエルマウで採択された我々の声明に基づき、気候クラブ・タスクフォースにより策定された気候クラブのタームズ・オブ・レファレンス(ToR)を支持し、ここに開放的、協調的かつ国際的な気候クラブを設置する。特に産業の脱炭素化に焦点を当てることによって、我々は、グリーン成長を引き出すことに貢献する。我々は、国際的なパートナーが気候クラブに加入し、そのコンセプトと体制の更なる精緻化に参加するよう招請する。その際、我々は、関連する国際機関及びステークホルダーと引き続き緊密に協働する。我々は、経済協力開発機構(OECD)に対し、国際エネルギー機関(IEA)とともに、他の国際機関と協働して暫定事務局を運営するよう求める。
  14. 2030年までに生物多様性の喪失を防ぎ回復させる我々のコミットメントを想起し、我々は、明確で測定可能な目標を掲げた野心的かつ効果的なグローバルな生物多様性枠組の採択と迅速かつ速やかな実施を含め、生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)における成果に向けて集中的に取り組む。この点に関し、我々は、野心的な世界的枠組の実施を支援するため、あらゆる資金源から資金を動員し、自然に対する我々の国内及び国際的な資金を2025年までに大幅に増加させることにコミットしている。我々は、G7以外の国々に対し、この努力に参加することを奨励する。
  15. 持続可能で、包摂的で、気候変動に強く、質の高いインフラ投資に関するより良い提案を国際的なパートナーに行うため、「グローバル・インフラ投資パートナーシップ(PGII)」への我々の貢献を加速し、我々は、多国間協力、公正なエネルギー移行及び持続可能な投資に関する旗艦プロジェクトとして、南アフリカ及びインドネシアとの「公正なエネルギー移行パートナーシップ(JETP)」における進展を歓迎し、ベトナムとのJETPの交渉の早期妥結並びにインド及びセネガルとの更なる進展を期待する。我々は、2027年までに最大6000億ドルを動員するという我々の共同の野心を実現するために、PGII作業部会内での協力を強化し、また、我々はJETPに関し、JETP作業部会を通じて調整する。
  16. 我々は、ジェンダー平等を実現し、全ての政策分野に一貫してジェンダー平等を主流化させるという我々の完全なコミットメントを再確認し、ジェンダー平等アドバイザリー評議会(GEAC)による主要な提言を歓迎するとともに、年末までに同評議会の報告書の詳細版を受け取ることを期待する。我々は、本年のGEACの重要な作業に感謝するとともに、GEACを全てのG7議長国の常設の組織として召集する意図を改めて表明し、同評議会を更に強化することを期待する。
  17. 本年、我々は、特にエルマウで承認された「パンデミックへの備えに関するG7合意」を通じ、WHOを中核としたグローバルヘルス・アーキテクチャ及び将来の世界的な健康危機に対する予防、備え及び対応の能力の改善、並びに、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの達成のために、進展を達成した。我々は、世界エイズ・結核・マラリア対策基金(グローバルファンド)の第7次増資が成功裏に行われたことを歓迎する。我々は、保健医療従事者の研修及び質の担保並びにワンヘルス・アプローチを統合することで感染症の発生及び変異株を可能な限り早期に発見するためのサーベイランス能力の強化に向けた取組を強化する。我々は、安全で有効なワクチン、治療及び診断を開発するための科学を引き続き支援する。
  18. ドイツ議長国の下、我々G7は、他の国際的なパートナーと共に、現代の主要な体系的な課題及び緊急の危機の双方に共同で対処する決意を示した。我々のコミットメント及び行動は、公平な世界に向けた前進への道筋を整える。日本議長国の下での2023年のG7広島サミットに向け、また、インドのG20議長国への支援において、我々は、力強くあり、結束し、全ての人々にとっての平和で、繁栄し、持続可能な未来の再構築に絶対的にコミットしている。

原文はこちらをご覧ください(英語)。