2024年「欧州および世界の死刑廃止デー」に寄せるEU上級代表と欧州評議会事務総長の共同声明
<日本語仮訳>
ジョセップ・ボレル欧州連合(EU)外務・安全保障政策上級代表兼欧州委員会副委員長とアラン・ベルセ欧州評議会事務総長は、以下の共同声明を発表した。
「死刑は、人間の尊厳を究極的に否定する非人道的な、あるいは品位を傷つける処遇や刑罰である。
欧州および世界の死刑廃止デーに際して、EUと欧州評議会は、いかなる場合においても、またいかなる状況においても、死刑もしくはその再導入に明確に反対することを強く再確認する。
われわれは、死刑廃止への支持が世界的に高まっていることを歓迎する。全ての国の3分の2以上が、法律上あるいは事実上、死刑を廃止している。昨年、死刑を執行した国の数は過去最低を記録した。
このような死刑廃止の流れにもかかわらず、いまだに死刑が執行されている国も少なくない。2023年に死刑執行件数が最も多かったのは、中国、イラン、サウジアラビア、ソマリアおよび米国の5カ国であった。報道などによれば、イランだけで全執行記録数の74%を占めている。米国において、論議を呼んでいる窒素吸入という執行方法が使用されていることは大きな懸念材料である。ベラルーシは、いまだに死刑を執行している欧州大陸唯一の国である。
われわれは、死刑を執行している数少ない国に対し、完全廃止に向けた第一歩としてモラトリアム(執行停止)を導入するよう求める。
死刑支持派はしばしば、極刑が犯罪を抑止するという考えに基づいて議論を展開する。しかし、死刑が犯罪の抑止や減少にほとんど、あるいは全く効果がないことは、証拠から明らかである。死刑は社会をより安全なものにはしない。さらに、死刑は誤審の結果を不可逆的なものにしてしまう。
欧州評議会とEUは、欧州域内を含め、死刑制度の再導入を推進するナラティブに対抗し、全世界における死刑制度の完全廃止に向け、開かれた、民主的な議論を促すための協力を強化していく。われわれは、死刑の使用に関する透明性を向上させるあらゆる努力を支援し、若者や市民社会との関わりを強めていく決意である。
死刑は過去の遺物であり、21世紀にはふさわしくない。直ちに廃止しなければならない」
原文はこちらをご覧ください(英語)。