2023年「欧州および世界の死刑廃止デー」に寄せるEU上級代表と欧州評議会事務総長の共同声明
<日本語仮訳>
ジョセップ・ボレル欧州連合(EU)外務・安全保障政策上級代表兼欧州委員会副委員長とマリヤ・ペイチノビッチ=ブリッチ欧州評議会事務総長は、以下の共同声明を発表した。
「欧州および世界の死刑廃止デー」に際して、欧州連合(EU)と欧州評議会は、死刑制度の再導入を含め、あらゆる場合、あらゆる状況において、同制度に明確に反対することを改めて強く表明する。
死刑は非人道的で品位を傷つける刑罰であり、人間としての尊厳を究極的に否定するものである。死刑は犯罪の抑止力として機能せず、誤審を不可逆的なものにする。
世界は死刑制度からの脱却を続けており、これまでに3分の2以上の国が、法律上もしくは実際面で廃止している。過去1年でザンビアとガーナが世界的な死刑廃止の運動に加わったことに祝意を述べたい。また、死刑の最終的廃止を視野に入れた世界的なモラトリアム(執行停止)を求める国連総会決議が、過去最多の125票の賛成を得て採択されたことを歓迎する。われわれは、今なお死刑を存置している国々に対し、その廃止に向けた第一歩としてモラトリアムを導入するよう呼びかける。
今年は、あらゆる状況における死刑の廃止に関する欧州人権条約(ECHR)第13議定書の発効から20周年にあたる。これまでに44の欧州評議会加盟国がこれを批准している。これらの国々を称えると共に、アルメニア議会による第13議定書の批准およびアゼルバイジャンの同議定書の署名を歓迎する。われわれは、両加盟国が速やかに批准手続きを完了することを促したい。
ベラルーシは、欧州でいまだに死刑を適用している唯一の国である。EUと欧州評議会は、ベラルーシが1年足らずの間に2度も極刑を拡大適用し、今回は大逆罪を犯した公務員と軍人にまで死刑を適用したことを遺憾に思う。中国では、数字は国家機密となっているが、昨年も死刑判決や死刑執行が数千件に上ったと推定される。世界の他の国々では、イランやサウジアラビアなどが死刑執行件数を増やしている。これらの国々は、シンガポールなどと同様に、薬物関連の事件や、市民がソーシャルメディアや街頭で意見を表明した場合でさえ死刑を適用し、国際人権法を無視し続けている。この非人道的な刑罰の使用は断念すべきである。また、米国において2022年および2023年にも死刑が執行されたことを遺憾に思う。
われわれは、全ての死刑存置国に対し、極刑廃止に向け、開かれた民主的な議論を促すよう求める。このことを念頭に、各国は死刑をめぐる透明性と手続き、政策および実践に関する正確な情報へのアクセスを向上させるべきである。死刑の再導入に関するナラティブが時折再浮上することは、市民社会との関与をさらに深め、若者間で死刑廃止の大義の推進を強化する圧力となるべきである。全ての死刑廃止国の政府は、自国内の刑罰制度において死刑が決して復活することはないという明確なメッセージを発信すべきである。
EUと欧州評議会は、冒涜、背教もしくは合意の上での同性関係に対する刑罰としての死刑を含め、極刑反対を引き続き力強く主張していく。
市民社会は今なお、死刑制度に反対する世界的な闘いの最前線にいる。EUと欧州評議会は、法律上および実践の場においてこの目標を達成することを目指し、引き続き連携を強化していく。この重要な日にあたり、われわれは、人間の尊厳と人権、そして死刑の完全廃止のためにたゆまぬ努力を続けている全ての弁護士、人権擁護者、学者、政治家および個人に敬意を表する」
原文はこちらをご覧ください(英語)。
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