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世界報道自由デーに寄せるEUの声明

03.05.2023
ブリュッセル
EEAS Press Team

EU NEWS 070/2023

 

<日本語仮訳

5月3日の「世界報道自由デー」に際して、ジョセップ・ボレル欧州連合(EU)外務・安全保障政策上級代表兼欧州委員会副委員長は、EUを代表して以下の声明を発表した

「『すべての人は、意見及び表現の自由に対する権利を有する。この権利は、 干渉を受けることなく自己の意見をもつ自由並びにあらゆる手段により、また、国境を越えると否とにかかわりなく、 情報及び思想を求め、受け、及び伝える自由を含む

このように75年前に世界人権宣言に定められた表現の自由の保護は、現在もEUの人権擁護活動において主要優先事項である。今年、われわれは、世界教育科学文化機関(UNESCO=ユネスコ)と共に、今日これまで以上に、表現の自由はその他全ての人権にとって極めて重要であり、『権利の未来の形成(Shaping a Future of Rights)』に決定的に貢献することを強調する。

自由で独立した多元的なメディアを維持することは強靭で健全な民主主義にとって死活的に重要であるにも関わらず、今日、報道の自由は、世界の大半の地域で危機にひんしている。深刻な人権侵害や残虐行為に光を当て、権力者の責任を追及するジャーナリストやメディア従事者など中立な質の高い情報を一般市民に届ける全ての人々が、ディスインフォメーション(偽情報)によるものなど、信用の失墜や脅迫や攻撃にますます直面している。

攻撃下にあるウクライナにいる記者、ベラルーシやアフガニスタンのジャーナリスト、中東や北アフリカの独立系メディア、中米の現地ジャーナリスト、フィリピンやロシアのノーベル賞受賞者など、欧州を含む世界中の大勢のメディア従事者が、自身の職業に従事するために大きな犠牲を払い続けている。

特に、女性ジャーナリストは、オフラインとオンラインの両方で、脅迫や激しい攻撃の対象になりやすい。差別や偏見による否定的な評価、性差別的なヘイトスピーチ、オンライン上での挑発行為、性的暴行やジェンダーに基づく暴力、さらには殺人の危険にまでさらされている。女性ジャーナリストの73%は、オンライン上の脅迫や虐待、嫌がらせを仕事の中で経験している。また、今日ほど多くの女性ジャーナリストが拘留されていることは今までにない。

表現の自由の権利の断固たる擁護者として、EUは、ジャーナリストに対するあらゆる形態の脅威や暴力を非難し、西バルカン諸国の『Safejournalists』プラットフォームやカンボジアの『独立系メディアおよび基本的自由への支援』プロジェクト、アフガニスタンの『メディアの強靭性』プログラムなど、地域のミッションや専用プログラムを通じて、危険にさらされているメディア従事者を支援している。

これに並行してEUは、『公的参加に対する戦略的訴訟(SLAPP=スラップ訴訟)』への対策、デジタルサービスや市場の規制、『EUメディア自由法』の提案など、域内においても対策を講じている。

同時に、『EUvsDisinfo』プラットフォームや欧州デジタルメディア観測所(European Digital Media Observatory)などの取り組みを通じて、外国による情報操作や干渉に対抗し、ディスインフォメーション、情報操作およびプロパガンダに対する欧州市民のレジリエンスを強化するための重要な能力を構築している。

報道の自由を擁護し促進することは、国境を越えた普遍的な使命である。EUは、率先して世界中の報道の自由を強化するために取り組むため、今後も国際的な場と地域レベルの両方で政府やメディア、市民社会に関与していく」

 

原文はこちらをご覧ください(英語)。

 

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