「国際反ホモフォビア・バイフォビア・トランスフォビアの日」に寄せる、EUの声明
<日本語仮訳>
ジョセップ・ボレル欧州連合(EU)外務・安全保障政策上級代表兼欧州委員会副委員長は、5月17日の「国際反ホモフォビア・バイフォビア・トランスフォビアの日」に寄せて、EUを代表して以下の声明を発表した。
「世界人権宣言75周年を迎える今年の国際反ホモフォビア・バイフォビア・トランスフォビアの日のテーマ『いつも一緒に:多様性の中での団結(Together Always: United in Diversity)』は、全ての人間が、どのような人であれ、誰を愛しようと、自分をどのように見て、どう定義しているかに関らず、生まれながらにして自由であり、尊厳や権利において平等であることを再認識させる、今日にふさわしいものである。
ディスインフォメーション(偽情報)や虚偽の言説に煽られ、LGBTIなど性的マイノリティーの人々に反対する言辞が増加し、しばしば暴力や嫌がらせ、差別や偏見などスティグマ化につながっている。 国際レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダー・インターセックス協会(ILGA)およびEU基本権機関(FRA)の報告によれば、欧州でLGBTIの人々に対する暴力や差別、排除は増加傾向にある。われわれは、欧州域内や全世界のこのような状況を深く懸念している。また、 紛争や危機、人道上の緊急事態は、多くの場合、LGBTIコミュニティの脆弱性をさらに高めた。
実際のまたは認識された性的指向や性自認に基づく人権侵害が続いていることは許されない。 EUは、いまだに同性愛を犯罪としている世界の67カ国(その内、11カ国は同意に基づく同性関係に対して死刑を科している)全てに対し、この差別的慣行を直ちに撤廃することを求める。 われわれは、全てのパートナーと協力して、性的指向や性自認に基づく差別的な法律や政策、慣行に反対し、あらゆる暴力の撲滅に取り組む決意である。
われわれは、しばしば市民社会によるたゆまぬ努力によって、一部の国で法的保護の向上など前向きな進展があったことを歓迎する。 EUは、市民社会組織やLGBTIの人々の権利の擁護者の揺るぎない支持者である。 今年、EUの地域プログラムやメカニズムなどの取り組みを通じた資金提供に加え、世界各地で平等、包摂性および多様性の促進のために1,500万ユーロが追加拠出される*。
EUは、EU域内および世界各地で、生活のあらゆる場面におけるLGBTIの人々の人権の完全享受を保護・促進するため、多国間の議論の場などを含め、取り組みを継続する。今日、われわれは全ての人と共にある。多様性の中で団結している」
*「近隣・開発・国際協力手段(NDICI)」の人権と民主主義に関するテーマ別プログラム
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