EUと日本
科学・イノベーション・デジタル関係
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概要
欧州連合(EU)と日本は、科学、イノベーション、デジタル分野における協力の推進に共に積極的に取り組んでいます。
科学技術分野における日・EU間の協力は、2009年に署名、2011年3月20日に発効した包括的な科学技術協力協定に基づいています。また、2015年5月には、 研究・イノベーションにおける一層緊密な関係に向けた 「共同ビジョン」および日本国政府と欧州委員会との間の研究・イノベーションにおける新たな戦略的パートナーシップという二つの重要な文書が採択されました。さらに、日・EU戦略的パートナーシップ協定は、共通の利害関心を有する課題に関する政治的・分野別の協力や共同行動を促進することで、二者間のパートナーシップ全般を強化しています。
科学技術・イノベーション政策に関して、EUは日本政府の関係者と緊密な関係を築いており、科学技術協力に関する合同委員会が定期的に開催されています(2023年12月7日に開催された第7回合同委員会の概要はこちら)。
研究・イノベーション分野における協力は、研究活動の卓越性の向上、学生や研究者などの人材・スキル開発、科学的な知や経験の循環の促進など、非常に大きな機会を提供しています。
デジタル分野では、2022年の日・EU定期首脳協議において「日・EUデジタルパートナーシップ」が初めて合意されました。それに基づいて、半導体、信頼性のあるデータの自由な流通とデータガバナンス、人工知能、ハイパフォーマンス・コンピューティングと量子、オンラインプラットフォームなど、幅広いデジタル分野にわたる協力の構築に向けた野心的な計画が定められ、毎年開催される閣僚級の「日・EUデジタルパートナーシップ会合」を踏まえて作業計画が策定されています。また、日本の総務省および経済産業省との間でICT・デジタル政策対話を毎年開催しています。
2024年5月、EUと日本は、政策の動向に関する情報の共有や経済の重要分野で使用される新材料に関する共同研究を推進する機会の検討のためのプラットフォームを構築する目的で、「先端材料に関する拡張対話」を開始しました(プレスリリース)。
研究協力の機会
EU は、1984年以降、一連の「研究・技術開発枠組み計画(Framework Programme=FP)」 を通じて研究・イノベーションを支援してきました。2021~2027年の期間を対象とする最新の枠組み計画「ホライズン・ヨーロッパ(Horizon Europe)」は、955億ユーロ(約13兆円)の予算を計上する過去最大のEUの研究資金助成プログラムで、予算は公募プロセスを通じて研究機関や大学、大小の革新的な企業に配分されます。「ホライズン・ヨーロッパ」は、気候変動に取り組み、国連の持続可能な開発目標の達成やEUの競争力・成長の促進に寄与します。また、研究者のキャリアをさまざまな段階で支援します。さらに重要な点として、日本をはじめとする世界各地の研究者は、「ホライズン・ヨーロッパ」のほぼ全ての公募に参加することができます。日本との科学・技術・イノベーション協力は、EUにとって戦略的に重要です。また両者は、研究における優先課題や社会的課題を数多く共有しています。
ホライズン・ヨーロッパへの日本の参加については、以下のような形で開かれています。
- ホライズン・ヨーロッパの一般公募を通じた共同研究:日本の機関は、ほぼ全ての分野のプロジェクトに参加できます。全ての公募案件は、「EU助成・公募ポータル(EU Funding & Tenders Portal)」で公表されています。また、2015年10月に始まった日本科学技術振興機構(JST)との共同助成の仕組みに基づいて、日本の研究者は資金助成を受けることができます。詳細は、JST のウェブサイトをご覧下さい。
- マリー・スクウォドフスカ=キュリー・アクションズ(MSCA):研究者(博士課程の研修および博士課程終了後の研究助成)や研究関連職員向けの交流支援プログラム。
- 欧州研究会議(ERC)の助成金:有望な若手研究者や過去10年に重要な研究実績を挙げた上級研究者が対象。
- 欧州原子力共同体(Euratom=ユーラトム)の原子力関連の研究・研修に関する研究プログラム。
「ホライズン・ヨーロッパ」の下での機会や参加資格、パートナー探しなどより詳しい情報については、日本の「ホライズン・ヨーロッパ・ナショナルコンタクトポイント(Horizon Europe National Contact Point)」 にお問い合わせ下さい。
「ホライズン・ヨーロッパ」の資金助成を受けた過去および現行のプロジェクトや過去の研究・技術開発枠組み計画については、CORDIS データベースをご参照下さい。
欧州委員会と日本学術振興会(JSPS)、日本科学技術振興機構(JST)および日本医療研究開発機構(AMED)の間で締結された一連の実施取決めにより、JSPS、JSTおよびAMEDから資金提供を受けた研究者は、最長1年間、欧州で欧州研究会議(ERC)の研究チームと連携できる機会が提供されています(毎年、各機関は、参加資格を有する日本の研究者に向けて、こうした機会に関する情報を発信しています)。
研究・イノーベーション分野における日・EU協力のさらなる詳細については、欧州委員会の研究・イノベーション総局のウェブサイト でご覧いただけます。
EIG CONCERT-JAPANプログラムに基づく新しい公募案件「持続可能な農業のためのデジタルトランスフォーメーションとロボティックス」(https://concert-japan.eu/ )
イベント
- 毎年開催しているイベント
日・EU科学政策フォーラム | 欧州研究デー | 欧州イノベーションデー | 日・EU ICT戦略ワークショップ | サイエンスアゴラ |
日・EU科学政策フォーラムは、毎年10月上旬に京都で開催される「科学技術と人類の未来に関する国際フォーラム(STS Forum)」の前後に開催しています。
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欧州研究デーは、日本を拠点に活動している欧州の研究関係者が集まり、研究やキャリア、欧州のパートナーとの協力の機会などについて議論することを目的としています。 | 欧州イノベーションデーは、日本を拠点に活動している研究者やイノベーター、イノベーション関連機関に欧州との協力の機会を提供することを目的としています。 | デジタル分野を形成する政策に関する協力や理解を深めることを目的として、年に2回、EUと日本政府の代表が産業界の代表と会議を開催しています。 | 日本最大の科学コミュニケーションイベント「サイエンスアゴラ」のEUブースでは、ホライズン・ヨーロッパのプロジェクトに参加している日本の研究機関の代表者を迎えて、その研究や欧州との共同研究について展示・説明しています。 |
- 地域アウトリーチ
ジャン=エリック・パケ駐日欧州連合大使は、科学技術・イノベーション・デジタル部の職員と共に、日本各地の大学や研究機関を定期的に訪問し、その研究や国際連携について理解を深めてます。また、それは研究・イノベーション分野における日・EU間の連携をさらに推進する機会となっています。EU代表部は、皆様の機関にも喜んで訪問させて頂きます。そのような訪問の検討をご希望される方は、[email protected]までご連絡ください。
- 過去のイベント
年間を通じて、当代表部では、数多くのイベントやセミナー、ワークショップを主催・開催しています。過去の主なイベントの一覧はこちらでご覧いただけます。
また、公開講座も開催しております。過去の公開講座に関する情報はこちらでご覧いただけます。
日・EU科学・技術・イノベーション(STI)協力
- 「ホライズン・ヨーロッパ」における日本の組織が参加する共同研究プロジェクトの事例(準備中)
- 東京大学と(株)INPEX、人工光合成に関する欧州イノベーション会議・ホライズン賞(European Innovation Council Horizon Prize)を受賞(2022年12月)。東京大学は株式会社INPEXと共同で、人工光合成による燃料生産システムの完全に実用的なプロトタイプを開発し、500万ユーロの賞を受賞。プレスリリース(2022年12月5日)、YouTube。
- 2024年5月に開始された「先端材料に関する日・EU拡張対話」は、重要原材料を代替する新素材やパワーエレクトロニクス向けの先端材料の開発など、材料科学分野の研究における日・EU協力の成功を更に発展させるものです。また、最近採択された欧州委員会の「産業リーダーシップのための先端材料 に関するコミュニケーション(政策文書)」を踏まえています(2024年2月プレスリリース)。